〇1か月くらいはぼちぼちと。

 

新型コロナウィルス感染対策としての緊急事態宣言が解除されました。学校では分散登校が開始となり、徐々に日常生活を取り戻す段階にあります。しかし、以前と全く同じではない、withコロナの新たな生き方を、前例がない中、模索をしながら。

 

外来診療を行っていると、最近、原因不明の微熱が続くなどの患者さんが普段よりやや多い印象で、ストレスが一因である可能性があります。

 

外出自粛や自宅でのテレワークなど、みなさんそれぞれが頑張ってくれたおかげで、今のところ大阪では新型コロナウィルス感染の新たな増加を抑え込めていると言えます。しかし、全く予期せぬ生活を強いられたために、お子さんたちも大人のみなさんもみんな目に見えないストレスを感じ、体の中のバランスが大なり小なりくずれてしまっている可能性があります。

 

他の学年もそうですが、中でも小1、中1、高1のお子さんは何もなくても新しい環境で緊張するところを、出だしからコロナのために何をどうしたらいいのか分からない状況だと思います。6月から登校が始まっても、気合だけでは上手くいかないのも無理はありません。 1か月くらいはお子さんも大人の方も無理せずぼちぼちと様子をみるのがいいかと思います。

 

 

〇新型コロナウィルスに感染していないことは証明できません。

 

インフルエンザも同様ですが、新型コロナウィルスのPCR検査や抗原検査が陰性であっても、100%罹患していないとは言えません。「偽陰性」と言って実際には罹患しているのに検査では陰性と出てしまうことがあるからです。これは全ての検査で一般的なことで、完璧な検査は存在しません。ですので、PCR検査や抗原検査が陰性であったとしても、新型コロナウィルスに感染していないと証明することはできないことをご理解ください。

 

 

〇マスクは使用すべき人と使用したい人が着用するのが基本。

 

この言葉は、沖縄県立中部病院の高山義浩医師の言葉をお借りしたものですが、一番的を得て、分かりやすいと思います。

 

マスクを使用すべき人とは、

 

・発熱や咳など風邪症状のある人

・基礎疾患があり免疫力が低下している可能性のある人

・病原菌やウィルスに暴露される可能性が高い医療従事者

・どうしても3密を避けることができない人

・新型コロナウィルス感染者および濃厚接触者

その他、ここに挙げるべき人がいるかもしれません。

 

マスクを使用したい人は、そのほうが安心であれば、もちろん使用していただいてOKですが、これから暑くなるとマスクをしていると頭頚部の体温が上昇し、熱中症のリスクも増えます。

 

例えば、外を散歩したり自転車で走る場合に、周囲にあまり人がいなければ、もしくはさっと通りすぎるだけなら、ソーシャルディスタンスがとれていれば、その状況下でマスクをしているメリットはあまり多くはないと思われます。

 

現状の落としどころとしては、マスクをあまり使用したくない人は、マスクを持っておいて、ここぞという時には着用するのがいいかと思います。

 

 

〇引き続きできるだけ3密を避けましょう。

 

大阪府では、最近は1日の新たな感染者数はゼロか1人です。しかし、日本の中では現在も1日に10-20人程度の新規感染者数を認める地域があり、その地域では無症状や軽症の感染者がくすぶっており、いつクラスターが発生するとも言えず、簡単に移動が可能な現代においては大阪や近畿においても例外ではありません。どこでクラスターが発生するか、いつ第2波が来るか、まだ気を緩め過ぎず、できるだけ不要不急の場合は3密を避けて、情報にアンテナを張って過ごしましょう。

 

 

〇地域での新型コロナウィルスの流行はいまは少ないと言えます。

 

しかし、現在、新型コロナウィルスを怖がり過ぎる必要はありません。

 

ざっくりですが、大阪で1日の新規患者数が1名だったとします。しかし、実際にはもう少しいると考えて、無症状の人も含め大阪の1日の新規患者数を100人とします(←多く見積もっています)。10日くらいは感染力があるとするなら、×10で1000人くらいの感染者が大阪に存在するとします。大阪府の人口は800-900万人程度ですが、仮に1000万人とします。そうすると感染者数の割合は1万人に1人。しかし、大阪市内に感染者数の偏りがあるとすれば、堺市中区近辺では、仮に5-10万人に1人存在する可能性があるとします。そのように考えると、現在、堺市中区で多く見積もっても新型コロナウィルスの感染者は数人いるかどうか。

 

これはあくまで仮想ではありますが、私たち医師が診療を行う上でも、胃腸炎が増えてきている、インフルエンザは今はほとんどみない、といった近隣地域での流行を考慮しつつ、目の前の患者さんがどういった疾患の可能性があるか考えていくことが重要となります。

 

そう考えると、現状ではゼロとは言えませんが、近隣で新型コロナウィルス感染に罹患するよりは、毎年この時期に流行る夏風邪や胃腸炎に罹患する可能性の方が高いと言え、コロナではないかという心配が少しは軽減されるでしょうか。

 

 

〇風邪をひいたら1週間休める風習に!

 

子どもたちの学校など集団生活でいろいろと制限を行うこともある程度は必要かもしれませんが、どちらかというと大切なことは私たち大人の動き方ではないかと思います。

 

満員電車は3密が避けられず、20-30分以上、密集して談笑するのも感染のリスクがあると言えます。もちろん、仕事や生活をする上でやむをえず避けられない場合もあるでしょう。しかし、可能な範囲で生活の仕方、働き方を工夫するのが、新型コロナウィルスからの人類へのメッセージかもしれません。

 

例えばドイツでは、病院で風邪と診断された場合は、「風邪に効く薬はありません。1週間休むように診断書を書くので、家でゆっくり療養するように。」というのが処方となるそうです。発熱や咳を発症した場合、新型コロナウィルス感染はゼロとは言えないわけですが、それがコロナであってもインフルエンザや胃腸炎であっても、1週間、家でゆっくりと療養すれば、ほとんどは改善し、外で他の人にうつしてしまうリスクも減ります。もちろんこじらせる場合もあるので、その際は医療機関に相談します。

 

日本でも自分やお子さんが風邪をひいた場合、1週間休んで家でゆっくりする、それが可能な文化や風習がある、無理して仕事をしなくてもみんながそれなりに問題なく生活ができる。できれば日本でもそのように働き方改革や意識改革がなされていく必要があると思います。なかなかすぐに理想的にはいかないでしょうか。かく言う私たち医療従事者もすぐには難しいかもしれませんが、やはりここが重要ではないかと思っています。

 

 

ここに述べたことはあくまで私の現時点での雑感で、今後、新型コロナウィルスについての新しい知見が分かっていくに従い、大切なことも変わっていく可能性があります。もうしばらく情報へのアンテナも張りつつ、ぼちぼちと日常生活を過ごしていきましょう。